痛み鎮痛の基本のしくみ
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図解入門よくわかる痛み・鎮痛の基本としくみ (How‐nual Visual Guide Book)
- 作者: 伊藤和憲
- 出版社/メーカー: 秀和システム
- 発売日: 2011/04/22
- メディア: 単行本
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痛みの伝わり方
受容器の表面にある受容体(窓口みたいなもん)が、発痛物資を取り入れ、受容器が電気的な信号を発生し、信号は神経(電線みたいなもん)を伝わり脊髄に行く。
脊髄ではシナプスと呼ばれる部位で電気的な信号を化学的な信号に変え、脳へ向かう次の神経に情報を伝える。
発痛物資は色々ある。水素イオン、ヒスタミン、ブラジキニン、プロスタンディンなど。壊れた細胞などから出てくる。
痛みはストレス
ストレスを感じると視床下部が興奮し、身体を戦闘モード(交感神経↑)となり、その結果副腎髄質からカテコールアミンが分泌、血糖値や血圧を上昇させる。さらに副腎皮質も刺激され、血糖値上昇、免疫=リンパ組織の働きを抑制、胃酸分泌を活発にする。
本来これらの反応は、戦闘のために効率よくエネルギーを受けられるシステムだが、ストレスが長引けば、高血糖高血圧、免疫低下、胃酸分泌過剰などを起こす。
交感神経の亢進は、消化機能を抑制し、意識を鮮明にする。そのため便秘や嘔吐、不眠などの症状が起こる。
痛みと天気
気圧が下がると内耳の前庭で平衡感覚や加速度を感知し、視床下部を通じて交感神経が亢進。その結果、ノルアドレナリンが出て侵害受容器を刺激する。また血管を収縮させたり、ヒスタミンを放出させたり、副腎髄質に働きかけアドレナリンを分泌、それも痛みを感じる神経を刺激する。普通は刺激されても痛みは感じないが、もともと神経損傷や炎症などがあると、受容体が新たに出現していて痛みを感じる。
痛みと感情
イライラはストレスで、交感神経↑副腎髄質↑ノルアドレナリン↑痛みとなる。一方、セロトニンは痛みに対して抑制方向に、気分は興奮方向に働く。しかし不安が続いてうつなどになるとセロトニン量が減り、痛みを強く感じる。
痛みとかゆみ
痛みの受容器は「高閾値機械受容器」と「ポリモーダル受容器」
かゆみの受容器は「ポリモーダル受容器」 だが
どちらも神経はC繊維であり、そのためにかゆみがつよくなるとかゆいのか痛いのかわからないときがある。
痛みとしびれ
正座で神経線維が圧迫されると血管も同時に圧迫され、一時的に神経に血液が送られなくなる。すると神経細胞のエネルギー源であるATPの合成が妨げられ、細胞内外の物質濃度を調整できなくなり電流の発生が抑制され感覚が消失する。
圧迫が解除されると、再び血液送られ、ATP作られ、神経細胞が正常化する。細胞内外の濃度を元に戻そうとするが、差が激しいため、神経はかなりの頻度で異常興奮し、しびれを起こす。
神経は太いものから順に影響を受ける。痛みを伝える神経は細いので影響は受けにくいが、圧迫が長時間になると太いのも細いのも影響をうけしびれも痛みもでる。
痛みと熱さ
温度感覚を伝えるのにAθ、C繊維が関与していて脊髄に入ったあとも、温度と痛みはほぼ同じ経路を通る。違いは刺激を受ける受容器受容体だけ。なので熱いや冷たいは痛く感じるときがある。
痛み止め
抗炎症薬(非ステロイド性)
組織が損傷されると発痛増強物質であるプロスタグランジンが産生される。このPGの産生を抑え、炎症を抑制、痛みを抑える。炎症には本来血管の拡張や新生を促して組織を修復する作用があるので、使いすぎると治癒は遅れる。炎症のある急性痛に使われる。
ステロイド
細胞の受容体から細胞内に取り込まれ、様々なタンパク質を作り出す。その中のリポコルチンがプロスタグランジンを抑制し抗炎症作用となる。また、リンパ球やマクロファージによる各種サイトカインの産生を抑制し、これらによる炎症や痛み、アレルギー症状を抑える。しかし、糖質コルチコイドの長期間の服用は、顔が丸く腫れるクッシング症候群や、血糖上昇、胃腸障害などを起こす。
オピオイド
アヘン類縁物質で、アヘンが結合するオピオイド受容体に結合する。モルヒネ、コデインなどは悪心嘔吐、便秘などの副作用があるため、人工的に副作用の少ない半合成麻薬のオキシコドンや合成麻薬のフェンタニルが作られた。
抗うつ薬
慢性的な痛みに処方される。うつでは脳内のセロトニンやノルアドレナリンが減っている。それを補うため、分泌されたセロトニンやノルアドレナリンが再び取り込まれるのを防ぎ、脳内濃度を維持する。セロトニンやノルアドレナリンには鎮痛作用がある。
抗てんかん薬
脳の異常興奮をおさえる。
筋肉の痛み
筋肉は収縮すると痛みが増し、伸ばされると痛みは和らぐ。