ベストプログラミング  byゆじん

子育てのために健康・医療を独学中。サッカー、ランニング、健康についてわっかったこと発信

食塩と健康の科学

読み終わりました。

 

食塩と健康の科学―減塩だけがよいわけではない! (ブルーバックス)

食塩と健康の科学―減塩だけがよいわけではない! (ブルーバックス)

 

いままで塩をバカにしてました‥

 

ナトリウムや塩素

最も重要な役目は、細胞外液量とその浸透圧を一定に保持すること。

不足すると、浸透圧が低下するので水分が体外に出て、血漿の浸透圧を戻そうとする。つまり血漿の量が減少する→血液が減少し各臓器への血流量が減り、循環不全、血圧低下、ショックを起こす。

食塩の不足は死に直結するため、食塩を体内に保持するための強力な機能が働く。

健全な腎臓であれば食塩の喪失はほとんどゼロに近い値まで低下するので、ごく少量の食塩さえ摂取していれば食塩の平衡は維持できる。

体内に入ったナトリウムや塩素は、分解や消費はされず、体内から消失するのは、尿に排泄されるか汗として分泌されるかである。運動などにより特別な発汗が著しい場合を除けば、通常は1日2〜3㌘で十分である。

 

レニンアンジオテンシンアルドステロン

副腎から分泌されるアルドステロンがナトリウムの排泄を抑える。アルドステロンを調節してるのがアンジオテンシンⅡ。アンジオテンシンⅡの生産量を主に調節するのがレニンの量である。

アンジオテンシンⅡは、脳にも働きかけ食塩摂取欲求を増加させる。

 

なぜ食塩を摂ると血圧が上がるか

尿中排泄量が摂取量と同じになるまで3〜4日かかる。その間、細胞外液に食塩は増加し、浸透圧を保つために飲水を増加し細胞外液に水分を引き込む。すなわち血液量が増加、心拍出量も増加し血圧が上がる。

しかしこれは一時的で、その後の血圧上昇は血管が細くなる=血管抵抗の亢進による。

食塩感受性が高いか低いかで血圧の変化に違いがある。食塩感受性とは、腎臓の機能やレニン等の血管作動性物質の量の違いである。食塩感受性のある人は、腎臓での食塩の排泄能力が低い、逆を言えば、腎臓で食塩を保持する能力が高い。

 

奴隷貿易中の死亡

最大の原因は、食塩欠乏と体液量、とくに血液量の不足と考えられている。発汗、熱病、下痢嘔吐により消化液に含まれる多量のナトリウムや塩素を喪失したことによる。その中で生き残った者とそうでない者の違いは、腎臓における食塩の保持能力の違いである可能性がある。

 

治療としての食塩

激しい下痢など体液とともに食塩が失われる、または腎臓からの喪失が極端なとき、また意識障害などで摂取できないときなど、まずナトリウムや塩素、多くのビタミンミネラルとともに水分の補給が必要になる。エネルギーや栄養素は体内の脂肪やタンパク質からもとれるので後でいい。

最も急ぐのは、血漿の浸透圧を保つこと、つまりナトリウムと塩素と水=食塩水という形で血管から補給することである。食塩水の濃度は血漿と同じでなければならない。それは0.9%前後でこれを生理食塩水という。1㍑注入すると9㌘の食塩が含まれる。

その中にカリウムやカルシウムなど他のミネラルを加えたものがリンゲル液である。

低血圧症や起立性低血圧の一部の例では、食塩を十分に摂取することが改善に役立つこともある。

逆に、制限が必要なのは、高血圧、腎臓病、肝臓病、心臓病など。いずれも体内の食塩と体液量が過剰になりやすい。原因としてアルドステロンの血中濃度が上昇したり、腎臓そのものでナトリウム排泄が障害されたりすることである。

体内のナトリウム、塩素量が増加すると顔や下肢に浮腫という形で現れる。体重もその分増加する。

腎血管性高血圧症とは、
腎臓に入る動脈に狭い所ができると、レニン分泌が亢進する。

この増加したレニンは全身に周り血圧を上げる。

 

食塩とカリウム

カリウムはナトリウムより多く130〜150㌘存在し、そのうち70%は筋肉内にある。摂取したカリウムはほとんどが腎臓から排泄される。

尿細管でのナトリウムの再吸収の亢進は、カリウムの尿細管への排泄の増加とペアで行われる。体内で食塩の欠乏が起こると、アルドステロンが増加し、ナトリウムの排泄を減少させ、カリウムの排泄を増加する。つまりカリウムが欠乏する場合は、同時にナトリウム欠乏を伴ってるいることが多い。

カリウムは細胞内に多く、そのほとんどが筋肉にあることから筋肉の働きに重要であり、とくに心筋に対する影響は生命をも揺るがすほど。不足しても過剰になっても重大な影響がある。